ショウジンブログ on Hatena

“お芝居をしないと、この社会では異邦人として扱われるほかない”

瞑想とは自分という書物を何度も読み返すことかもしれない〜超訳 ダ・ヴィンチ・ノート

超訳だけに、
サクサクと読みやすく、

レオナルド・ダ・ヴィンチが書いた
(描いた)メモに関することだけでなく、
著者の桜川Daヴィんち(ダ・ヴィンチ研究家)による解説もとても楽しめました。

f:id:showjinx:20220412112135p:plain

そもそも、
ダ・ヴィンチ・ノート」とは何か。

レオナルド・ダ・ヴィンチ
膨大なメモを書き(描き)残しているんですね。

それらは想像力や
観察力たくましい挿絵(さしえ)が
ふんだんに入っていることはもちろんのこと、
文字はなんと鏡文字(かがみもじ)で書かれていたりして、
さらに個性的だったりします。

そうした
ダ・ヴィンチ・ノートのひとつである
レスター手稿(しゅこう)」は、

ビル・ゲイツがオークションで落札(28億4,000万円)したりする、

一部の人ではあるにせよ、
そうした価値を認められている特別なメモらしいんです。

そんなメモ(ノート)のなかから
著者の眼力(がんりき)で選ばれた
いくつかを7つのテーマにわけて、
テーマごとに掲載、解説しているのが本書の内容です。

著者は、
現代に必要なのは
ダ・ヴィンチ力(りょく)」であるとし、
そのダ・ヴィンチ力とは

1. 自尊力
2. 没頭力
3. 洞察力
4. 想像力
5. 対人力
6. 実践力
7. 幸福力

で構成されると。

その名声、偉業や名作といった
派手で華やかな面しか知らなかった
わたしからすると、

意外なことに
かなりエフィカシー(自己肯定感)が
低いところもあって
(そしてそれをバネに自尊心の向上につなげた)

「あのダ・ヴィンチといえども、やっぱりおなじ人間なんだよなぁ」と。

ダ・ヴィンチ
自分のスキル向上のために
していたことのひとつに
『THE TALENT CODE(日本訳タイトルは「天才はディープ・プラクティスと1万時間の法則で作られる)』で説明されている「ミエリン強化」を思わせるものもあったりして、

さらに納得。

ちなみに、ミエリン強化とは、
今の自分にはハードルの高い
ナチュラル、自然にはこなせない)
ことに集中して取り組み、

ミスを恐れず
(むしろよろこんで受け入れる)
トライアル&エラー(試行錯誤)を繰り返し、

それを最新の注意をもって修正、克服して
血肉としていくという習慣、行為のこと。

ダ・ヴィンチが心がけた具体的なことは

1. 何度も同じ手本をまねて描き、脳裏に刻み込む
2. 手本を見ずに、手本を再現させようと思って描く
3. ガラス板を使い、手本と自分の描いたものを重ね、不一致を検証する
4. 不一致部分に注目し、そこだけ何度も描いて記憶する

まさにミエリン強化のための
ディープ・プラクティスそのものです。

ここまで『超訳 ダ・ヴィンチ・ノート』、
レオナルド・ダ・ヴィンチについて触れてきましたが

この投稿の本題は実はそこにはなくて、
著者が紹介した

斎藤一人(さいとうひとり)さんは、ひとつの本を必ず七回読むことをすすめている ”

ということ。

斎藤一人さんの著作は
ほとんど読んだことはないんですが
(相性ってあります)

最近「一度しか読んでない本は、
読んだとはいえないなぁ」と
痛感していて、あぁ、やっぱりそうなんだ、と。
(さすがに七回は厳しいですが、最低でも二回、三回は)

『Think Clearly』でも、
読んだ数よりどれだけ深く読んだか、
それだけの価値のある本に厳選できるかみたいなことが書かれていたことも思い出しました。

ただ、本書(Think Clearly)については再読し、
後発の類型本(柳の下のドジョウ的な)も読んだけれど、
今ではこの著者は過大評価されている感が強いですね。
キュレーターとしての役割は果たしていますけど。

人は見たいものを(選んで)
見たいように(解釈して)しか見ていない。

それは良い、悪いということでなく、
そういうもの(性質)なんだと少しでも理解して、
それによるバイアス(色眼鏡、偏った見方)を
なるべく取り除くために、

読書でいえば 読み返すこと、 再読することはとても有効で大切です。

たった一度読み返すだけでも(部分的にでも)
笑って(情けなくて)しまうくらい

「あれ?こんなこと書いてあったっけ?」

とか

「あれ?書いてあったと思ったことが書いてないや」

とか、

いやいや、ほんとに笑えないくらい
たくさん見つかって苦笑い(絶望ともいいますね)できます。

初読をふまえて、再読までのあいだに経た 経験などで自分の感性
(自分にとって大切、必要、重要なものは何か)
も変化したりして、

そのことによって二回目以降は目につく、
気づくことが大きく変化していることがあるかもしれません。

読み取れるものが変わり、
解釈が変わり、
世界が変わり、

そして宇宙が(あなたひとりの宇宙が)変わる。

f:id:showjinx:20220412113307p:plain

うつし世はゆめ
よるの夢こそ
まこと

(江戸川 乱歩)

瞑想にも同じようなことがいえるかもしれません。

自分に深く向き合い潜っていく。

そのときでさえ、
見たいものを(選んで)
見たいように(解釈して)しか
見ることができないのだから、

ただ漫然(まんぜん)と目を閉じて
「している気分」にひたるのではなく

そもそも ありのままを観ることができない
(不可能ではないにしろハードルが高すぎる)ことを
認めたうえで、

適切な負荷をかけて(ディープ・プラクティスのように)観察していく。

日々の瞑想の実践は、
自分という書物を何度も何度も読み返して
「なんと書かれているのか」を
誠実に読み取っていくことなのかもしれません。

f:id:showjinx:20220412113716p:plain