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“お芝居をしないと、この社会では異邦人として扱われるほかない”

瞑想における魔境問題

クライアント(瞑想やヨガを指導している)から「瞑想を伝えていく側として気をつけることはありますか?」という質問がありました。

あるブログ記事を読んで思ったそうです。

そのブログのURLはのせませんが(disるとか、つっこむつもりはないので)

その記事の趣旨としては、むやみにヨガや瞑想をしているとチャネリングの危険性があるというもの。

チャネリングの定義が曖昧(あいまい)で、それがどう瞑想やヨガに関係するのかも曖昧だったのですが、ようするに

深い変性意識状態(そのブログ記事ではこれを「チャネリング状態」のように解説してました)のときは洗脳等の、他者からの書き込み(潜在意識や内部表現といった)がされやすい。

また、神秘体験もしやすいので妄想や幻覚を事実と混同して「魔境(まきょう)」に入ってしまうことがある。

この二点にたいする注意喚起のように読めました。

けっこうなボリュームで負の面を(ヨガ、瞑想について)強調、不安をあおるテイストで書かれていたのが気になりましたが、前述の二点はわたしも思うところで同意できます。

その記事でいうチャネリングをここでは「深い変性意識状態」と言い換えてつづけます。

瞑想やヨガに限らず、深い変性意識状態になる行為はチャネリング的な行為だといえると思います。

没入できる(ゾーンやフロー状態も入る)ものならなんでも。

魔境というのは神秘体験を伴います。(イコールではなく)

神秘体験自体は気持ちいい、快感をともなう体験なので、それはそれで楽しむのは個人の自由でしょう。

問題なのはそれ(神秘体験)を自分が見つけた唯一無二、普遍の真理だとして現実と混同することでしょう。

そのように勘違い、妄想(瞑想ではなく)しないことです。

ディズニーランドが楽しめても、ミッキーマウスという現実の生物がいるのだと盲信しないこと。

あれはあくまでも「着ぐるみ」だと。

それを理解したうえで楽しむということです。(熱狂的なディズニーファンは本稿を読んだことを忘れ、今すぐ離脱してください)

showjinx.hatenablog.com

魔境問題の注意点は、瞑想(ヨガでも)にもゴール設定をすることです。

ゴールを設定することで必要なフィードバックも決まります。

そうすることで瞑想の方向性(ゴール)と進度を明らかにできます。

このふたつがないと魔境を本物だと勘違いしてしまう危険性があります。

なぜなら、**何にむかって進んでいるのか。

どれくらい進んでいるのかがわからなくなる**からです。

神秘体験がそのままゴールになって、狂信者やカルトの教祖になってしまうかもしれません。(妄想にとりつかれて反社会的な行動にはしったり)

ですから、指導するときには生徒さんなり、クライアントさんの状態をよく観察し、魔境に入らないよう ライ麦畑のキャッチャー になることが必須です。

ちょっと長いですが、わたしが大好きなエンディングの一部を引用します。

でもとにかくさ、
だだっぴろいライ麦畑みたいなところで、
小さな子どもたちがいっぱい集まって
何かのゲームをしているところを、
僕はいつも思い浮かべちまうんだ。

何千人もの子どもたちがいるんだけど、
他には誰もいない。
つまりちゃんとした大人みたいなのは一人もいないんだよ。
僕のほかにはね。

それで僕はそのへんの
クレイジーな崖っぷちに立っているわけさ。

で、僕がそこで何をするかっていうとさ、
誰かその崖から落ちそうになる子どもがいると、
かたっぱしからつかまえるんだよ。

つまりさ、
よく前を見ないで崖のほうに
走っていく子どもなんかがいたら、
どっからともなく現れて、その子をさっと「キャッチ」するんだ

そういうのを
朝から晩までずっとやっている。

ライ麦畑のキャッチー、
僕はただそういうものになりたいんだ。

たしかにかなりへんてこだとは思うけど、
僕が心からなりたいと思うのはそれくらいだよ。

かなりへんてこなことはわかっているんだけどね

キャッチャー・イン・ザ・ライ』より

魔境に遭う段階はそう深いところで起きるものではありませんが、それでもちょっとやそっとではたどり着くところでもないので、そんなにナーバスにならなくていいかと思います。

ですが、必要十分な経験や知識を持たなくとも、生まれつきというか、素養(センス)がある人もいるので、こういった注意点はおさえておくにこしたことはないでしょう。

容易に自分の世界に没入して深い変性意識状態になる人は少なくありませんから。(この視点をもって人と接するようになると、たくさん見つかります)

わたしも瞑想を本格的に(本質とは別のところで)始めた最初の頃は宇宙が見えたり、大昔の西洋の町並みが入れ代わり立ち代わり現れたり、いろんな人の顔が浮かんだりという体験をしたことがあります。(ホルモン、脳内麻薬の影響に過ぎません)

魔境には入りませんでしたが、不思議な、そのミステリアスなヴィジョン、体験は未熟者にはとても刺激的なものです。

思い違いをして「真理を見つけた」とか「超常的な力が手に入った」となる人もいるかもしれません。

ということで瞑想にもゴールを。

そしてフィードバックをとることで、魔境に迷い込む危険を避けられるようになります。

あとは他者からの書き込みの危険性ですね。

いわゆる洗脳といったもの。

深い変性意識状態では他者から書き込みがされやすい(妄想を信じ込むことによる自分が自分にする書き込みも)というのもあるでしょう。

悪用すると洗脳です。(相手の同意を得ずに洗脳する側の利益のために勝手に書き換える、書き込むことが)

洗脳というと大げさに聞こえてしまうかもしれませんが、たとえば間違った指導をするヨガの指導者に習い、間違ったアーサナ、身体の使い方(心も)を覚えて(信じ込んで)しまう。

これも洗脳(マインドコントロール)です。

他者からの書き込みです。

それによって身体(心も)に不具合がでれば、呪いにもなります。

本人が気づかぬうちに。

ですから、信頼できる「偉大な魔法使い」に師事することも、そういった危険を避けることになると思います。

逆に相手(生徒さんやクライアントさん)のほうが魔法使い側よりも深い変性意識状態に入ると、そちらに飲み込まれてしまうので、指導する側もそういった点は注意する必要があるでしょう。

ここまで瞑想(そしてその指導)をきっかけにすすめてきましたが、洗脳(他者からの書き込み)についていえば、例の感染症騒ぎもそうです。

言葉が、概念が人を支配し、そして殺す。

洗脳というと、あまり日常では扱われない言葉ですが、気づいてしまえばそれを行うのはヒトだけではない(実行という起点はヒトであれ)ことがそこかしこに溢れている。

実体はもたなくとも情報(言葉、概念)は生命をもち、増殖し、実体をもつ存在(我々)を支配する。