老化は病であり治療できる〜LIFESAPN 老いなき世界
『LIFESPAN 老いなき世界』を読みました。
なかなか衝撃的な書で、とくに「老化」は当たり前(受け入れざるを得ない)のものではなく「病」であり、それも「治療できる」ものであるとする主張(そしてその根拠)には「そういう考え方もあるのか」と目からウロコ。
ただし、前半においてであり、後半は正直なところ(あくまでも個人的、私見ですが)諸手を挙げて肯定はできないかなという感想です。
前半では体に適切な(ときに過酷な)負荷をかけることで(少食や断食、運動など)サーチュインなどの長寿遺伝子、若返り遺伝子が発現することや、オートファジー(自食作用)の有効性を説いているのに
後半の科学、医学への妄信や信仰に近い姿勢から導かれる短絡的な(これもまた私見ですが)未来への展望はある意味グロテスクであり、少なくとも私は望まない未来だなと。
そもそも、食べる(飲む)ものの内容や、過剰な薬物依存、有毒素を避ける、食べる量など、生活習慣病に代表される現代病(ざっくりですが)の根本原因をまず取り除くことが先であるはずなのに(原因ですから)、それら(避けるべきもの、悪しき食習慣、悪しき生活習慣)はあって当然という前提なのは受け入れがたいです。
著者の主張どおりに老化が受け入れざるを得ない当然のものではないというのと同じように。
まぁ、科学者でもあり、そして起業家でもあるのでそのスタンス、ポジショントークは当然といえば当然なんでしょうけれど。
とはいえ、ただの寿命、延命こそが求められるべきものではなく、あくまでも健康寿命をのばすことが重要なんだという点には納得です。(昔に比べ寿命ははるかにのびていても、健康で幸福な生活が送れる人生がのびているわけではない現実があるので)
個人的にはこっちのほうがはるかに賛同できます。(自分の経験則、体験からも)
ルイジ・コルナロはルネサンス期の人ですが(当時はまだ画家、芸術家の地位が相応に認められなかったこともあり、ダヴィンチやミケランジェロよりも知られた存在だったとか)この時代ですでに健康寿命を得る、のばすための真理(のようなもの)を体得していたんですね。
お釈迦様が量子論や相対性理論といった現代物理学に通じる考えを会得していたように。
自分の体にとって、自分自身のほか、いかなる名医もあり得ない。人の体質はそれぞれ違っているので、自分でなんども試行錯誤を経験することなくしては、自分の体質を見極めたり、自分に合った食べ物を選択したりすることなどできない。(本書より引用)
これについても(万人に通じるものはない)最近明らかになってきている遺伝子の発現型(自分が受け継いだ遺伝子だけでなく、生活習慣等による後成的な因子によって変化する)なんかにも通じると思います。
やはり古典はすごい。
無病法はKindle Unlimited会員なら無料で読めます。
他にも極少食や断食、オートファジーに関する参考書籍はたくさんあるんですが(これらもほぼKindle Unlimited対象)また機会をあらためて紹介できればと思います。