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“お芝居をしないと、この社会では異邦人として扱われるほかない”

制限をかけることが豊かさにつながる〜減らす技術

多くのひとが
より多くのことを処理して、
そして大きな成果を求めようとします。

そうしたほうがいい、
当然な気がします。

でも、
実際は逆だったりします。

減らすこと(Less is more)。

制限をかけることが、
ひとつひとつの取り組みの精度をたかめ、
より実りある成果につながることになるんです。

制限をかけず、やみくもに
「もっとたくさん、もっと、もっと」
やろうとするのは、

瓶の中に入った赤い液体を
大海にたらすようなものです。
(薄まって、無秩序に拡散していきます=エントロピーの法則)

それが、制限をかけてコーヒーカップにたらすのだとどうでしょう?

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制限をかけずに、やみくもに
「もっとたくさん、もっともっと」
やろうとするのは、

グラウンドをたったひとつのショベルで
まんべんなく掘り起こそうとするようなものです。

それが、制限をかけて、
ここと決めた一箇所を掘っていくとどうでしょう?

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なーんてことを
『 THE POWER OF LESS 』では教えてくれます。
(日本語訳版は『減らす技術』)

制限をかけずにいろいろなことを
まんべんなくやろうとすると、

ひとつひとつにかける労力、
その質が薄まってしまうと著者はいいます。

だから達成する力も弱くなり、
達成してもその実り(成果)も小さなものだったりするのだと。

そして、その数(あれもこれもと)に
圧倒されて疲弊していくんだと。

著者のLeo Babauta(レオ・バボータ)さんは
「 zen habits 」というブログを運営している、
シンプルな生活を提唱するパワーブロガー。

zenhabits.net

本書で提唱する
「減らす技術」を使うことで、
著者は数年間でいろいろなことを達成しています。

  1. ランニングの習慣が身についた
  2. 健康的な食事が身についた
  3. 生産性、創造性が増した
  4. 2つのマラソン大会に出場した
  5. 2つの仕事を持つようになり、収入が倍になった
  6. 早起きになった
  7. ベジタリアンになった
  8. 2つのトライアスロンを完走した
  9. zen habits(著者の Web サイト)を立ち上げた
  10. 借金を完済した
  11. 本を出版した

などなど。

zen habitsには、
同じように制限をかけることで
より豊かな人生、生活を贈ろうとするひとたちが集い、
そうしたひとたちを励ます役割も担っています。

でも、制限をかけるといっても、
これまた やみくもにやるだけでは 成果につながりません。

「ゴール」が大切です。

本書ではEssential(エッセンシャル)なもの、
こと を明らかにせよと強調しています。

自分にとって Essential(必要不可欠、欠かせない大切)なものを。

それがあきらかになればシンプルにできると。
(制限をかけることによって)

大切なもの( Essential なもの )に注力するための指針、方針が決まります。

多くのひとがそれを明らかにせず、
まんべんなく多くのことをやろうとするから、
求める結果につながりにくいのだと。

こんなジョークがあるそうです。

“ 象の彫刻を彫るにはどうすればいい? ” “ 象以外の部分をけずりおとせばいいんだよ。”

でも、象以外の部分をけずりおとすには、
象がどのようなものであるかを知る必要があります。

象とはいったいどんな形をしているのかを
知らなければ、象以外をけずりおとすことはできません。

この「象の形」を知ることが
「エッセンシャル」なものを明らかにすることにあたります。

自分にとってのエッセンシャル。

それ(必要不可欠な大事なもの)がわからないというひともいるかもしれません。

そこで本書では、それを知るためのガイドとなる質問がいくつか用意されています。

全部で 9 つの質問や心構えです。

けっこうな数ですが
紹介します。

1. What are your values?
“ あなたにとって価値あるもの、ことはなんですか? ”

2. What are your goals?
“ あなたのゴールはなんですか? ”

3. What do you love?
“ あなたが愛するものはなんですか? ”

4. What is important to you?
“ あなたにとって重要なものはなんですか? ”

5. What has the biggest impact?
“ もっともインパクトのあるものはなんですか? ”

6. What has the most long-term impact?
“ もっとも長期間にわたってインパクトのあるものはなんですか? ”

7. Needs vs wants
“ しなければいけないことと、したいことは? ”

8. Eliminate the nonessential
“ エッセンシャルではないものを取り除く ”

9. Continual editing process
“ こうした質問によってエッセンシャルなものとそうでないものを明らかにするプロセスを続けること ”

最初の 2 つ
(自分にとって価値あるもの、ゴールを知る)だけでも
十分エッセンシャルなものを知る手がかりになるでしょう。

ゴールを知る、決めることで
他の質問の回答も得られるでしょう。

逆に「 いや、ゴールが見つからないんだよ 」
ということであれば、

それ(ゴール)以外の質問にこたえることで
ゴールが見えてくるかもしれません。

こんなワークに取り組むことで、
自分にとってのエッセンシャルを知ることができれば、
それに関係のないことを取り除き、

エッセンシャルなものに関係するものだけに
(制限をかけることで)注力していけます。

本書にはより具体的、いろいろな面から
「減らす、制限をかけることで得る力」について、
著者の出した結果も紹介しつつ説明されています。

生産性をあげたい、
創造性をたかめたい、
豊かな結果をだしたいといったひとは
是非読んでみてください。
(平易な文章なので、英語ですが原書がおすすめです。翻訳版はかなり熱量が下がっている印象)

そんなわけで本書を超訳
圧縮版で伝えましたが、
あらためてポイントを。

  • エッセンシャルを明らかにする
  • そのうえで、そうでないものを取り除く(制限をかけ、シンプルに)

です。

あと一点。

これも本書でなんども言われることですが

one at a time
(いちどにひとつ)

いっぺんに
いろいろ やろうとするなと。

一度にやることはひとつにしぼって、
そして丁寧に取り組みなさいと。

氣功や瞑想、ヨガの実践にもいえることです。

いきなりおおきな成果、
成功の果実を求めるのではなく、
いちどにひとつずつ、
丁寧に取り組む。

そうして少しずつの変化をよろこび、つづけていくと。

その結果として、おおきな成果につながる。

以上、

『 THE POWER OF LESS – 減らす技術 』

の超圧縮版でした。