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“お芝居をしないと、この社会では異邦人として扱われるほかない”

読む瞑想〜サードドア、月と6ペンス

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良質な書物は
いともかんたんに深い瞑想状態(変性意識状態)にいざなってくれます。

書物にかぎらず、
人がするあらゆる表現にその機会はあり、
また、人だけでなく、それは自然や無機物、空間であることもあります。

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表現されたもの自体にも
そうした価値はもちろん備わっているのでしょうけれど、
じつは肝なのは受け手(読み物であれば読者)なのだと思います。

モノそれ自体に価値はなく、
それをどう受け取るか。

どういう文脈(状況)でそれを受け取るのか。

それは受け手にかかっています。

まぁ、そんな理屈っぽい
かたっ苦しい言い回しはおいておいて、
単純に「おもしろい」と思えるものは、
とにかく「おもしろい」ということです。

読書でいえば、
自然に素直にまっすぐそのままに
「没頭」してしまうということです。

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まさに「我を忘れて」
その活字であらわされた世界に没入する。

そういう作品(活字に限らず)に出会うと
本当に心から「本っていいなぁ」と感動します。

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フィクションでもノンフィクションでも、
学術書のような専門書、
ビジネス書だっていいんですが、

自分ではまだ知らないこと、
未経験なことを疑似体験させてくれるからです。

以下の二冊は
ノンフィクションとフィクション(小説)でしたが、
同時に読み進めていたことが自分にはいい具合にフィットして、読み終えるのも同じタイミングだったことでより印象に残りました。

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『サードドア』は
18歳の大学生(自分探しの旅に繁華街を徘徊しそうな、じつに頼りない)が

自分のミッションをみつけ、
その達成に向けてあきらかに無謀ともおもえる行動を重ねていく物語(実話)です。(ビルドゥングスロマン、成長小説といってもいいでしょう)

その無謀な(そう感じる人は多いでしょう。ドリームキラー的な意味でも)行動の数々がまさに現代版わらしべ長者のごとく、

とてつもないスケールで次々と達成されていく様に興奮します。

圧巻です。痛快です。

実際にミッション達成に向けて
四苦八苦する本人にとっては
心身ともに激しいアップ&ダウンはありますが、
読み手にとってはこのうえなく痛快です。

とくにティーンエイジャー、
ヤング層に激しく読んでほしいのですが、
かつてヤングだった人だってきっと興奮するし、楽しめると思います。

胸熱(むねあつ)です。

あまりに有名で、
名前とその活動や業績については知ってはいても、
それどまりだと臨場感を感じにくいですが、

この本の著者がインタビューしていく
(ざっくりいうと、それが彼のミッション)

有名人、著名人たちの肉声に活字とはいえ触れられることで、いっきにそれ(臨場感)がヒートアップしていきます。

本当に素晴らしい。
(三回読んでからメルカリに出しちゃいましたが)

心から著者に感謝と賛辞をおくります。

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もう一冊は
もう古典といっていいのかと思いますが、
サマセット・モームの『月と六ペンス』。

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こちらも詳しい内容には触れませんが、
たったひとりのキャラクター造形を
ここまで作り上げたことで、

ネガ(写真のポジとネガの)も自然と、
そして豊かに立ち上がってくる。

そんな世界をここまで
(フィクションに感じられないくらい)
高められるのかと、

読み終えたときに
全身の力が抜けました。
(もちろん、がっかりではなく)

村上春樹さんの小説作品に登場する
デレク・ハートフィールド」も

当時じっさいに探してしまったように
(架空のキャラクターです)、

本作の主人公についても
検索したい衝動に何度も駆られました。
(フィクションだと頭ではわかっていても)

本にかぎらず、
なんでもいいから、

そんな没頭できる経験を
積み重ねていくことが、

瞑想的な人生、
豊かな人生なのでしょう。
(自利、そして利他につながる)

瞑想や悟りや解脱といった
高尚な目的(エゴですね)だけに任せておくのはもったいない。

今生(こんじょう)を悔いなく、
余すことなく生ききったと満足できる。

だから輪廻の輪からもぬけだせる(解脱)。
(輪廻も解脱も、あるない含め、どうでもいいですが)

そんな実のある(形だけで終わらない)、
あなたにとっての本当の瞑想(的行為)はなんですか?

そんな日々を生きていますか。

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