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“お芝居をしないと、この社会では異邦人として扱われるほかない”

止められるものなら、やってみるがいい〜マリア・シャラポワ自伝

彼女については

かわいいなぁ(もっと若いころね) きれいだなぁ(おとなに、成熟してきてからね) すごく強いらしい(もちろんテニスが) エキセントリックな叫び声をあげるらしい

くらいしか知らなかったんです。

テニスについて(スポーツとしての)もとくに興味はないし。

世代的にTVアニメで『エースをねらえ!』にははまりまくりましたが。

去年引退したこと、この自伝についてはセンセイのブログで知って、なんとなく気になりつつ(わりと頻出したので)ついに読了。

超絶面白かったです。(なんと貧困な表現、語彙)

マスクという名のおしゃれな(いや、醜悪だ)雑巾をしたり

手指の過剰な消毒で大事な大事な皮膚常在菌たちを殺戮しまくってる暇があったら読むといいでしょう。

その(無駄、自己破壊的な清潔、健康を求める行為)何億倍も心と身体に有益で栄養と活力の源になるから。(とはいえ、観測者次第ではある。エントロピーがそうであるように)

その文体、己の半生近くを振り返る姿勢はとても繊細できめ細かい内省の様子(幼少時から)がまるで求道者(きゅうどうしゃ)のようで類を見ないユニークさ。(面白いではなく、一意という意味で)

敗北はつらい。とても苦しい。でも敗北は最高のものでもある。勝利への準備をさせてくれるからだ。

もっとくだけてハードボイルド、非情といってもいいほどに。(恋心でさえも相応に夢中にはなり、ときめきながらもメタ視点を失わず冷静な自己観察をしていたり)

早熟というよりも、早くからの老成というか達観というか。(父を主に「ユーリ」と第三者的視点で語ることからも)

教師のひとりがわたしと打ち合うことになった。そう、そんなことになったのだ。真夜中みたいに感じられる時間にセンターコートに出て、ボールを追って相手を叩きのめす。ビジネスマンたちが見物し、蚊がブンブン飛ぶ中で。 一種の見世物だった。あとになってそれがわかった。見物していたのはアカデミーに金をそそぎ込むことを検討していた投資家たちで、彼らは商品をちょっと見たかったのだった。 別の言い方をすれば、ニックは所有者で、わたしは商品というわけだ。または、勝利が商品で、わたしは勝利を量産する機械だったということ。

テニスに対する姿勢はまさに「肉体の式神化」。

本書の執筆時、あらためて当時の関係者を訪れて肉声を拾っていってるのも臨場感高く、厚みを増すのに大変役立っています。(それを差し込むタイミング、度合いもセンスがいい)

とにかく、自分自身でも認めている特質、最高の資質である「集中力・精神力(負けず嫌い)・勝利への貪欲な姿勢、渇望」が彼女の偉大なキャリアのの究極の土台になったことは間違いない。(それを幼少時から自覚していたことも同様に)

とくに集中力に関しては(試合時だけでなく)集中しすぎて飲食(水分、カロリー補給)を忘れ、血糖値の急低下からの脱水症状も珍しくなかった(リスク、デメリットともいえるけれど)とか。

経験から教えられた。この世界には完璧な正義などないことを。人の口に戸は立てられないし、自分をこのように思ってほしいと相手をコントロールすることもできない。不運に対して備えることもできない。できるのは必死に頑張り、ベストを尽くし、真実を語ることだけだ。結局、大事なのは努力なのだ。ほかのことは自分の力ではどうにもならない。(理不尽なドーピング疑惑の長いトラブルを超えて)

上手というか、流暢な文体では決してないけれど、故にゴツゴツとした引っかかる(心、琴線に)感触があり、刺さってくるものがある。

今(例の感染症騒ぎに翻弄され、多数の命まで失っている)我々に必要なのは、効果も根拠もない過剰で無意味な(そして害悪な)対応ではなく、こうした偉大で「クレイジー」な人たちの物語だ。

目を覚まそう。(いや、望むなら、つむったまま、寝たままでもいいけれど、少なくとも俺にそっちの理を「マナー」や「エチケット」といったポリティカル・コレクトネスのような醜悪なオブラートに包んだものを強要するな。さらに悪いことに、善きこと、正しいことをなしている体でもって)

こんなことが起こる前、わたしが考えていたのはゴールだけだった。どんなふうにキャリアを終わらせるか、どんなふうに幕引きをするかということだけだったのだ。でも、今はもうそんなことを考えていない。テニスをすることだけを考えている。できるだけ長く。できるだけ激しく。ネットが取り払われるまで。ラケットが焼き尽くされるまで。わたしが止められてしまう日まで。止められるものなら、やってみるがいい。

自分で調べず、考えず、メディアやシステム、権威に盲従するのが大好きな人にはこれなら納得できるのか?

得意文句の「〜が言ってたから」ってことで。

以下は厚生労働省が公開(明言)しているPDF(新型コロナウイルスを防ぐには 2020.02.17)より