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“お芝居をしないと、この社会では異邦人として扱われるほかない”

人々が口にすることと全く反対の内容が、しばしば真実である〜大分断 - 教育がもたらす新たな階級化社会

ソ連の崩壊
米国の金融危機
アラブの春
トランプ大統領誕生
英国のEU離脱

などを予言したとして知られる
文化人類学者、人口学者の
エマニュエル・トッドへのインタビューを
中心として構成されている新書。

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日本の読者向け独占インタビューで
インタビューは氏の自宅で行われたとか。

わたしは門外漢なので
彼が語ることすべてを理解なんて
到底できないけれど、それでもたまにそうした
(自分が得意でなかったり知識、理解力が足りないような)
ものに触れることは大事。
(多様性、ランダムネスの投入)

頭と感性の筋トレのような。

それでも インタビュー形式ということもあってよみやすい。
(わかりやすいということではなく)

氏は、現代の「高等教育の発展」が
「知性」に対してはむしろ非生産的な結果を生んでいると
警鐘を鳴らしている。
(とりわけ氏が住むフランスにおいて)

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高等教育は
経済的、社会的成功のための
ツールに堕していると。
(彼にとっては学ぶという行為自体が目的になるべきだと)

社会の分断と格差を引き起こし
支配階級の再生産というシステムに陥っているのだと。

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第1章 教育が格差をもたらした
第2章 「能力主義」という矛盾
第3章 教育の階層化と民主主義の崩壊
第4章 日本の課題と教育格差
第5章 グローバリゼーションの未来
第6章 ポスト民主主義に突入したヨーロッパ
第7章 アメリカ社会の変質と冷戦後の世界

といった内容。

面白い、刺激的だなと感じたのは
第7章で紹介されている
彼が実践、提唱している
絶対値による会話分析法」。

引用します。

ここで私のとある思考方法を取り入れてみましょう。それは「人々が口にすることと全く反対の内容が、しばしば真実である」という考え方です。

例えば、誰かがあなたに「これはいい」とか「これは悪い」などと言います。そうしたらそこに含まれるプラスあるいはマイナスの部分を省いてみてください。すると本当のテーマが現れます。会話の相手が本当に言いたいことはそこに見つかるはずなのです。

いくつか例があげられているのでそれも紹介。

例えば天気の話しをしているとしましょう。そこで突然相手が「女性は大嫌いだ」と言ったとします。ここで「女性」というアイテムが現れます。そしてそのアイテムには「大嫌い」というマイナスの記号がついています。しかしこの「プラスかマイナスか」は、本当はどうでもいいことです。ここからわかることは、この人物が「女性」という存在に取り憑かれている、そればかり考えているということなのです。

たいていの場合
ひとは気がかりになっていることについて
真実とは逆の記号を付随させて表現
しがちだと。

例の感染症騒ぎに対して
フランス政府がとった対応についても
この分析法で鋭く注意を喚起しています。

この「民主的な形態を遵守する」という、民主主義にプラスの記号がついた脅迫観念のようなものから見えてくるのは、この国を統治している人たちが実は民主主義を解体してしまいたいという内なる願望を抱いているだろうということなのです。

我々が住むこの国においても
この思考法をちょっとでも適用すると
この春から続いているグロテスクな光景に
疑いをもつきっかけになるかもしれない。

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いや、もっとシンプルに
“事実” をもとに
(恣意的、意図的に差し向けられている情報の洪水から離れて)

疑問をもち、
その答えを自分の頭で考えて得ようとすればいいだけなのだけれど。

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