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“お芝居をしないと、この社会では異邦人として扱われるほかない”

ミステリーがヒストリーを作る〜サードドア

神秘(ミステリー)が歴史(ヒストリー)をつくる

私のお気に入りの言葉のひとつで、
エリオット・ビズノーというひとからの引用です。

エリオット・ビズノーって誰?
という人は、

ぜひ2019年度「わたしの胸熱」大賞受賞作
『サードドア – The Third Door』を読んでみてください!

エリオット・ビズノーは、
本書の中で著者である
アレックス・バナヤンの最初の(そして最高の)メンターとなる人物です。

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すばらしいエピソード、
シーン、せりふ
(まさに映画やドラマにするにはもってこいの)が満載なのですが、

とくに著者のアレックスが
終わりのほうでやっと得る気づき、

ミッションを果たすまでに失敗、挫折ばかりしてきたけれど、そうしたものにこそ本当の価値があるんだ

と気づくところは最高です。

彼は「ミッション」という言葉で、
その実現の旅への舵取りをはじめます。

「ゴール」や「夢」とよみかえてもいいでしょう。

そして「達成するか自体はどうでもいい」ということも。

成功体験から得られる学びなんてない。

ミッションなりゴールなり
(現状の外という縛りを課した)を設定し、

それに邁進(まいしん)していく中で味わう挫折、
失敗、苦痛や屈辱にこそ「価値」があり、

それこそが自分を成長させるんだと。
(その過程において、結果的にゴールを達成するということはあるにしても)

締めにクインシー・ジョーンズっていうのは
クインシー・ジョーンズの生い立ちと成功に至る道からすると)ビシッとピリッと本作にマッチしていて、

相当な数の推敲を重ねたことにも
納得の質の高さだと思います。

だからこそ、
読みやすく平易ではあるけれど、
そうした表現にもっていくことは
逆に超がつくほど高度なディープ・プラクティスが必要。

これだけだと片手落ちなので
(ディープ・プラクティスは「親切な学習環境」でこそ成果を上げるもの)こちらの『RANGE』も紹介しておきます。

これも2020年に読んだ中では
トップクラスの満足度、おもしろさでした。